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全東信、20年前から粉飾決算か—是正すれば605億円の債務超過

全東信の破産に伴い、長年にわたる粉飾決算の実態が浮き彫りになってきた。東京商工リサーチ(TSR)の取材によると、同社は少なくとも20年前から業績悪化を隠すために組織的な粉飾を行っていた可能性が高い。帳簿上の純資産は約24億8000万円のプラスだったが、粉飾を是正すると実質的には約605億円の債務超過に転落する。

明らかになった粉飾の手口

TSRの報道によれば、全東信が用いた粉飾の主な手口は以下の4点に及ぶ。

預金残高の水増し(約170億円): 実際には存在しない預金を帳簿上に計上。決済代行業者は加盟店からの売上金を一時的に預かる性質上、多額の預金残高があるように見せかけることで金融機関からの融資を引き出しやすくする意図があったとみられる。

架空債権の計上(約154億円): 回収の見込みがない債権を売上債権として計上し、資産を水増し。取引先への売上債権のうち、実質的に回収不能なものを資産として計上し続けた。

営業権の過大計上(約8億8200万円): M&Aや事業譲受の際に計上したのれん(営業権)を実態以上に高く評価していた。

未払立替精算金の未計上(約217億円): 加盟店に対する未払いの立替精算金を負債として計上しておらず、実際の負債額が大幅に過小評価されていた。

粉飾が続いた背景

全東信の粉飾が20年もの長期にわたって続いた背景には、決済代行というビジネスの特性がある。加盟店からの売上金を預かり、カード会社との間で資金を移動させる同社のビジネスモデルは、外部から実態を把握しにくい構造だった。

また、融資元の地域金融機関も、全東信の成長性を過信し、十分なデューデリジェンスを行わずに融資を継続していた可能性が指摘されている。

破産申請時の負債額との乖離

帝国データバンクなどが報じた破産申請時の負債額約1259億円と、TSRが報じた粉飾是正後の債務超過額約605億円の間には大きな開きがある。前者は帳簿上の負債総額であり、粉飾の実態を反映していない可能性がある。実際の経済的損失はさらに大きくなる可能性が高い。

今後の調査と法的責任

破産管財人のもとで財産調査が進む中、粉飾決算の全容解明が進むと見られる。粉飾が故意に行われた場合、元経営陣に対する民事・刑事両面での法的責任が問われる。また、粉飾を見抜けなかった監査法人や、融資を継続した金融機関の責任も議論の的となるだろう。

全東信のケースは、日本の中堅企業におけるガバナンス不全と地域金融機関の与信審査の甘さを象徴する事件として、今後の企業統治のあり方に一石を投じることになりそうだ。